TAVI(Transcatheter Aortic Valve Implantation;経カテーテル的大動脈弁留置術)とは、大動脈弁狭窄症の患者さんに対し、胸を切開せずにカテーテルで人工弁を挿入する、新しい治療法です。従来の外科手術と比べ、身体への侵襲(ダメージ)が少なく、早く回復できることから、80歳以上の御高齢の患者さんに大きなメリットがあります。当センターは神奈川県内に6カ所あるTAVI実施認定施設の1つとして2016年からこの治療を開始しました。
従来の開胸手術では手術時間が約5-6時間、手術翌日まで人工呼吸、食事や歩行は術後2-3日目から開始し、リハビリを行い退院までには3週間前後かかります。体力の回復には、さらに数ヶ月を要していました。TAVIでは、手術は1-2時間で終了し、翌日から食事歩行が可能となり、特に合併症がなければ約1週間で退院できます。体力が落ちないため、退院直後から通常の生活に戻れます。
しかし従来の開胸を伴う外科手術と比べて弱点もあります。新しい治療のため長期成績がわからないこと、弁周囲に逆流が残ることが多いこと、脈拍に異常を来しペースメーカー移植が必要となることがあることなどです.どちらの方法が個々の患者さんに適しているか、ハートチームカンファランスで話し合い、患者さんのご希望を踏まえて判断しています。